そうめんづくりと製造副産物の循環
−株式会社みそ半の挑戦 −

株式会社みそ半 代表取締役 松永泰裕さん

グリーンコープが進める「産直びん牛乳と共生・循環型酪農プロジェクト」。牛の健康を守り、おいしい牛乳を届けるとともに、地域資源を活かした取り組みも進めています。その一環として、食品製造の過程で出る副産物を飼料に活用する取り組みも広がっています。長崎県南島原市の株式会社みそ半もその実践者のひとつです。

来年で創業50周年を迎えるみそ半は、手延べそうめんを専門に製造・供給する会社です。もともとは販売業から始まりましたが、40年ほど前に自社工場を設立。現在では全国の生協を中心に、そうめんを供給しています。特長は100%国産小麦を使うこと。40年前からポストハーベスト問題に向き合い、子や孫の世代に安心して食べてもらえるそうめんづくりを続けてきました。小麦は熊本・玉名産に限定し、風味を重視した商品に仕上げています。

また、同社は「GC海水塩なぎさ」をはじめとする塩の開発・供給にも取り組んできました。国産小麦の弱点であるグルテン量の少なさを補うため、ミネラルの研究から独自の塩を開発。結果として麺の伸びやコシを高めることに成功し、この塩は現在、グリーンコープの多くの加工食品にも使われています。

グリーンコープとの取引は40年近くにおよびます。まだグリーンコープが現在の形になる前からつながりがありました。石けん運動やポストハーベスト反対運動など、生協運動の理念に共感し、「本物を次の世代へつなぐ」という思いを共有してきました。

「消費者と直接つながり、生産者の思いを伝えるグリーンコープの姿勢に共感しました。私たちの先代も、その理念に強く惹かれ、一緒に歩んできたのです」と松永代表は語ります。

製造副産物を循環させる

そうめんは生地を長く伸ばしていく製法のため、途中で切れたり落ちたりする部分がどうしても生じます。本来は商品にならないその部分を、今回の酪農プロジェクトでは乳牛の飼料として活用。しかも国産小麦100%、遺伝子組み換えでない安全な原料からできているため、安心して牛に食べてもらえるのです。

「安心な原料だからこそ、『牛さん、どんどん食べてね、元気に牛乳を出してね』という気持ちで送り出しています」と笑顔で話します。

代表自身も長年グリーンコープの組合員として牛乳を飲み続けてきました。学生の頃から1日1リットルの牛乳を飲んで育ち、「自分の体の半分以上はグリーンコープの牛乳でできている」と冗談交じりに話します。だからこそ、自社のそうめん副産物が牛の飼料となり、そこからまた美味しい牛乳が生まれる循環を「とても幸せに感じる」といいます。

未来への期待

「今は消費者の意識も変わりつつあります。安さだけでなく、どう作られたか、どんな地域や人が関わっているかが重視される時代。グリーンコープが率先して新しいモデルを築いていくことは、生産者にとっても大きな励みです。私たちもその一員として、共に歩みたい」と語ります。

副産物を資源に変え、循環の輪を広げる挑戦。みそ半の歩みは、そうめんづくりの枠を超え、未来の食と農を支える確かな力となっています。